手を差し伸べたいという気持ち
もうすぐ母の命日。明日十三回忌が営まれる。母は献身的な人だった。赤の他人を心配をしたり金銭面の援助をしたり。困っている人に手を差し伸べたいという気持ちが強い人だった。援助しても見返りはなかった。それでも明るく振舞っていた。ドイツのある格言をよく口にしていた。「笑って暮らすも一生、泣いて暮らすも一生」。社会人になって自分も困っている人に手を差し伸べるようになった。しかし、いつしか笑って暮らせなくようになった。母が伝えたかったことを誤解していた。誰かに親切にするのはいいこと。でも見返りがなかったからといって悲しまない。親切にできたことを喜ぶ。そして笑って暮らす。そんな生き方を望んでいたのだ。